New FD200mm F2.8

New FD200mm F2.8

僕は望遠レンズが苦手だ。ただ遠くの景色を撮っただけの写真しか撮れない。

それでも「明るい望遠レンズが欲しいな…( ̄∀ ̄)」と思ったので某オークションで落札してしまった。僕は某オークションを利用するときはストアしか利用しないのだが、このレンズを出品していたストアは商品紹介文が所謂「カメラ転売塾」の塾生が使うテンプレそのものなので某オークションにてカメラやレンズの買い物に慣れた人からは敬遠されていたらしく競合相手もなく落札することができた。

余談だが某オークションや某フリマアプリの商品紹介文で「感謝です!!(●^o^●)」「手に持ってるだけで心が躍ります~♪♪」「★超極上品★」「★新品級★」「専門店の動作チェック済みです!」「機関絶好調!」「奇跡の〜」という表現を多用していたら、そっとページを閉じて別の出品者の商品を探した方が無難だ。

脱線してしまったので話を戻すが、「New FD200mm F2.8」には前期型と後期型があって僕が購入したのは光学系が「FD200mm F2.8 S.S.C.」と同じ5群5枚の前期型だ。フォーカシングで鏡筒が伸縮する。

現行品の「ニーニッパ」は「Lレンズ」として存在しているけど、このレンズは蛍石やUDガラスなどの特殊硝材を使用していないので大口径ながらLの称号を冠しない普通のレンズだ。

Canon F-1, New FD200mm F2.8, Kodak ColorPlus 200

稲村ヶ崎から撮った江ノ島だが、流石は単焦点というべきかズームレンズとは一線を画する描写力だ。レンズの構成枚数が少ないからか非常に抜けが良い。

Canon F-1, New FD200mm F2.8, Kodak ColorPlus 200

遊覧船「べんてん丸」
マスクしていない人が多いのは、この写真はコロナ禍の前に撮った写真だから(笑)

Canon F-1, New FD200mm F2.8, Kodak ColorPlus 200

弁天橋から撮った江の島シーキャンドル
シーキャンドルに着けられた電飾のワイヤーや木の枝などかなり細かい部分もしっかりと描写できている。

Canon F-1, New FD200mm F2.8, Kodak ColorPlus 200

弁天橋から撮った夕陽
オールドレンズだけどコントラストは高い。雲や海面の質感も表現できている。マゼンタが足りない発色だが、これはフィルム(Kodak ColorPlus 200)の発色傾向だろう。

このレンズを購入したストアで「New FD300mm F4」も購入したのだが、コロナ禍になってしまい使用する機会のないまましまい込んでいる…(´・ω・`)

Canon FD24mm F2.8 S.S.C.

FD24mm F2.8 S.S.C.
FD24mm F2.8 S.S.C.

このレンズはハードオフで購入したのだが『ジャンク品』ではなく『中古品』扱いだった。…とは言っても値段は税込5,400円だからジャンク品と大差ない。

古くても広角レンズは値段が高いことが多いのだが、この個体が格安だったのは、よく見ると分解したらしき痕跡が認められるからだろう。まぁ、実写して明らかに光軸が狂っていて像が甘かったり、無限遠が出なかったりしなければ、僕にとっては問題がない。

入手してから既に半年ほど経っているけど、広角レンズでありがちな主題が何なのか解らない、つまらない写真ばかりしか撮れなかったので正直言って書くことが無かった。

この度めでたく良い写真が撮れたって訳ではないけど、自分の才能の無さは割り切って、このレンズの記事を執筆してみようと思った次第(笑)

Canon F-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Kodak Pro Image 100

まずは稲村ヶ崎を鎌倉側から撮った一枚。
使用したフィルムは『Kodak Pro Image 100』だけど、強烈な日差しで海面からの反射光もあり絞りはF16まで絞り込んでいる。そのため回折ボケの影響で画面全体の解像感は甘い感じになってしまった。

このレンズは、『S.S.C.』の名のとおり、当時キヤノンが誇る多層膜コーティングが施され、フレアやゴーストとなるレンズ面反射を除去する…らしいのだが、半逆光で畝りのある海面から光が乱反射するという悪条件ではフレアが出てしまっているようだ。

Canon F-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Kodak Pro Image 100

こちらは逆に藤沢側から撮った稲村ヶ崎。
光の向きが順光なので、こちらの方がコントラストのある締まった画になっていると思う。

ちなみに『稲村ヶ崎』と『稲村ガ崎』という2種類の表記があるけど、『稲村ヶ崎』の表記は歴史的用法や国の史跡の名称に使用し、地名としては『稲村ガ崎』と表記するらしい…

Canon F-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Kodak Pro Image 100

お次は撮影場所と時間がいきなりすっ飛んで江の島西浦漁港からの夕日

『Instagram』を代表とする「SNS映え」とか、『東京カメラ部』的な不自然なまでに彩度を盛った写真を見慣れると地味な夕日だけど、この画が撮れるのがフィルムの良さだと思うんだよねぇ…

で、この落ち着いた発色のフィルムだけど、それでも過剰にノスタルジックな画にならないのがキヤノンのレンズの良さだと思う。

Canon A-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Lomography Color Negative 800

ここからは、撮った日もカメラもフィルムも変わって、カメラは『Canon A-1』に、フィルムは『Lomography Color Negative 800』になる。

感度800なので粒状感のあるザラッとした仕上がり。デジタルの高感度ノイズと違い質感と味があってこれはこれで好き。

Canon A-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Lomography Color Negative 800

江の島弁天橋から江の島を撮ったのだけど、このフィルムの発色はなかなか特徴的。寒色系な発色というか赤の発色が足らない感じだけど全体の彩度は低くないので被写体やシーンによっては面白い写真が撮れるかも…この写真は凡庸だけど。

Canon A-1, FD24mm F2.8 S.S.C., Lomography Color Negative 800

『江の島 湘南港ヨットハウス』を撮ってみた。このレンズは、このような被写体でも不自然な歪曲や画面隅の解像感が著しく低下するようなことはない。

焦点距離24mmで開放F値2.8というスペック的には取り立てたものは何も無い平凡なレンズだけど、そこはやはり単焦点なので画質も良く、軽量で扱いやすいというズームには無い利点がある。

Canon F-1 & FD55mm F1.2 撮影結果

特に不具合が見つからなかったので、SR-44酸化銀電池を購入しモルトを貼り替えて、さっそく試写することにした。モルトの貼り替えが苦手で面倒臭がりの僕にしては珍しい(笑)。

風が強かったので、海岸付近には行かず近所で試写することにした。

市民センターの彫像だが、一対なのに構図を合わせるのを怠ってしまった。このレンズはFDレンズとしては最初期のレンズで、レンズコーティングはモノコートだが、コントラストも高く描写に力強さが感じられる。

開放ではないが絞りを開き気味にしてみた。ボケ味は輪郭がやや強いが悪くない、歪曲収差はそれなりにあるようだ。

余談だが、この市民センターはバブル期の建築で、デザインも凝っているし彫像まで在る。隣接する公園も規模が小さいのに彫像や噴水が在り、同じ藤沢市の施設でもバブル崩壊後に企画・建設された施設とは一線を画す造りだ。

街のメインストリート沿いの、お洒落な外見のパン屋。通りのこの辺りだけ、歩道がレンガ風だったり欧州風のデザインになっている。どうせならメインストリート沿いの歩道を全てこのデザインに統一した方が良いのだが、予算不足か誰かが反対したのか、なんとも中途半端な状態になってしまっている。

他にも、垢抜けないデザインの看板を付けた進学塾やらパチンコ店やらが景観を悪化させてしまっている。こんな事は、この街を設計した故・黒川紀章氏も思いもよらなかったかも知れない。

この撮影条件でフレア・ゴーストの出ないレンズなんて、最近のレンズでも無いだろうが、オールドレンズには少し厳しい条件で撮ってみた。この条件でも、合焦面はキレがあり力強い発色とコントラストだ。

Canon F-1 & FD55mm F1.2

このカメラとレンズはハードオフのジャンク品で、価格はセットで税込8,640円だった。ハードオフは値札に簡単な状態説明を記入しているが「シャッター切れました、速度変化します。他未確認」と書いてあったので、買取時に明確な不具合は確認できなかったらしい。

確認させてもらったら、Canon F-1はフィルム室のモルトを交換する必要がある他は、ファインダーの曇りやプリズムの腐食などの不具合が無い機体だった。露出計が動かないのは、単に電池が切れているだけだろう。FD55mm F1.2の方もカビやバルサム切れの無い良好なコンディションだった。どうも、防湿庫で保管されていたらしい。

ハードオフの別の店舗で、同様のセットがジャンクではなく中古品で69,800円で売られていたが、そちらはレンズにカビが生えていた。

現金の持ち合わせは少なかったが(まぁ…多い日は無いのだが…)、今買わなければ、次に何時こんな値段でCanon F-1を入手できる機会が訪れるか分からないし、実写しなければ判明しない不具合が有ったとしても、機械式のCanon F-1はシャッター幕の破れや水没等の致命的な破損が無い限り、業者にオーバーホールを依頼すれば復活するし、最悪でもFD55mm F1.2は手持ちのキヤノン機で使えるので、即断即決で購入する事にした。

帰宅後、電池室を開けると電池らしき物が入っていた。驚いたことに、関東カメラサービスの「水銀電池アダプター 変換型 MR-9(H-D)」だ。これは、現在でも入手可能な酸化銀電池の電圧1.55Vを、環境負荷の高さ故に生産停止となった水銀電池の電圧1.35Vに変換してくれるアダプターで、水銀電池の代替問題を解決してくれる有難い製品だ。一緒に入っていたSR-44は既に切れていたが、幸いなことに液漏れはしていなかった。SR-44が無いので、とりあえずLR-44を入れたら無事に露出計が動いた。

動作確認用のフィルムを入れて巻き上げて見たが、巻き上げも出来ている。露出計の値やコマ被りの有無といった、実写しなければ判らない事以外は確認できた。後はモルトを貼り替えて、実写するのみだ。

コーティングの劣化やカビ跡、バルサム切れの無いクリーンな光学系だ。このレンズ単体でも普通なら2万円はしそうだ…