Canon F-1 & FD55mm F1.2

このカメラとレンズはハードオフのジャンク品で、価格はセットで税込8,640円だった。ハードオフは値札に簡単な状態説明を記入しているが「シャッター切れました、速度変化します。他未確認」と書いてあったので、買取時に明確な不具合は確認できなかったらしい。

確認させてもらったら、Canon F-1はフィルム室のモルトを交換する必要がある他は、ファインダーの曇りやプリズムの腐食などの不具合が無い機体だった。露出計が動かないのは、単に電池が切れているだけだろう。FD55mm F1.2の方もカビやバルサム切れの無い良好なコンディションだった。どうも、防湿庫で保管されていたらしい。

ハードオフの別の店舗で、同様のセットがジャンクではなく中古品で69,800円で売られていたが、そちらはレンズにカビが生えていた。

現金の持ち合わせは少なかったが(まぁ…多い日は無いのだが…)、今買わなければ、次に何時こんな値段でCanon F-1を入手できる機会が訪れるか分からないし、実写しなければ判明しない不具合が有ったとしても、機械式のCanon F-1はシャッター幕の破れや水没等の致命的な破損が無い限り、業者にオーバーホールを依頼すれば復活するし、最悪でもFD55mm F1.2は手持ちのキヤノン機で使えるので、即断即決で購入する事にした。

帰宅後、電池室を開けると電池らしき物が入っていた。驚いたことに、関東カメラサービスの「水銀電池アダプター 変換型 MR-9(H-D)」だ。これは、現在でも入手可能な酸化銀電池の電圧1.55Vを、環境負荷の高さ故に生産停止となった水銀電池の電圧1.35Vに変換してくれるアダプターで、水銀電池の代替問題を解決してくれる有難い製品だ。一緒に入っていたSR-44は既に切れていたが、幸いなことに液漏れはしていなかった。SR-44が無いので、とりあえずLR-44を入れたら無事に露出計が動いた。

動作確認用のフィルムを入れて巻き上げて見たが、巻き上げも出来ている。露出計の値やコマ被りの有無といった、実写しなければ判らない事以外は確認できた。後はモルトを貼り替えて、実写するのみだ。

コーティングの劣化やカビ跡、バルサム切れの無いクリーンな光学系だ。このレンズ単体でも普通なら2万円はしそうだ…