このレンズはハードオフで購入したのだが『ジャンク品』ではなく『中古品』扱いだった。…とは言っても値段は税込5,400円だからジャンク品と大差ない。
古くても広角レンズは値段が高いことが多いのだが、この個体が格安だったのは、よく見ると分解したらしき痕跡が認められるからだろう。まぁ、実写して明らかに光軸が狂っていて像が甘かったり、無限遠が出なかったりしなければ、僕にとっては問題がない。
入手してから既に半年ほど経っているけど、広角レンズでありがちな主題が何なのか解らない、つまらない写真ばかりしか撮れなかったので正直言って書くことが無かった。
この度めでたく良い写真が撮れたって訳ではないけど、自分の才能の無さは割り切って、このレンズの記事を執筆してみようと思った次第(笑)
まずは稲村ヶ崎を鎌倉側から撮った一枚。
使用したフィルムは『Kodak Pro Image 100』だけど、強烈な日差しで海面からの反射光もあり絞りはF16まで絞り込んでいる。そのため回折ボケの影響で画面全体の解像感は甘い感じになってしまった。
このレンズは、『S.S.C.』の名のとおり、当時キヤノンが誇る多層膜コーティングが施され、フレアやゴーストとなるレンズ面反射を除去する…らしいのだが、半逆光で畝りのある海面から光が乱反射するという悪条件ではフレアが出てしまっているようだ。
こちらは逆に藤沢側から撮った稲村ヶ崎。
光の向きが順光なので、こちらの方がコントラストのある締まった画になっていると思う。
ちなみに『稲村ヶ崎』と『稲村ガ崎』という2種類の表記があるけど、『稲村ヶ崎』の表記は歴史的用法や国の史跡の名称に使用し、地名としては『稲村ガ崎』と表記するらしい…
お次は撮影場所と時間がいきなりすっ飛んで江の島西浦漁港からの夕日
『Instagram』を代表とする「SNS映え」とか、『東京カメラ部』的な不自然なまでに彩度を盛った写真を見慣れると地味な夕日だけど、この画が撮れるのがフィルムの良さだと思うんだよねぇ…
で、この落ち着いた発色のフィルムだけど、それでも過剰にノスタルジックな画にならないのがキヤノンのレンズの良さだと思う。
ここからは、撮った日もカメラもフィルムも変わって、カメラは『Canon A-1』に、フィルムは『Lomography Color Negative 800』になる。
感度800なので粒状感のあるザラッとした仕上がり。デジタルの高感度ノイズと違い質感と味があってこれはこれで好き。
江の島弁天橋から江の島を撮ったのだけど、このフィルムの発色はなかなか特徴的。寒色系な発色というか赤の発色が足らない感じだけど全体の彩度は低くないので被写体やシーンによっては面白い写真が撮れるかも…この写真は凡庸だけど。
『江の島 湘南港ヨットハウス』を撮ってみた。このレンズは、このような被写体でも不自然な歪曲や画面隅の解像感が著しく低下するようなことはない。
焦点距離24mmで開放F値2.8というスペック的には取り立てたものは何も無い平凡なレンズだけど、そこはやはり単焦点なので画質も良く、軽量で扱いやすいというズームには無い利点がある。